「お灸をすえる」という慣用句がありますよね。「叱る」「お仕置き」をするといった意味で使われますが、戦前は日本では家庭でも民間療法としてお灸がよく使われていました。松尾芭蕉の「奥の細道」にも「三里に灸すゆるより」と、お灸のことが出てきます。しかし、「鍼治療とは?」のページで述べたのと同じように、お灸も東洋医学に基づいて行われる治療法です。鍼灸治療の場合、鍼治療では、経穴に鍼で刺激を与えましたが、お灸では、経穴にモグサ(漢字では「艾」)によって熱刺激を加えます。
方法は、モグサを直接皮膚の上にのせて火をつける方法と、モグサと皮膚の間を空けて行う方法の二つに大別されます。また鍼治療と合わせて、鍼の先にモグサをつけて行う灸頭鍼などもあります。「お灸をすえる」という慣用句から、お灸は熱くて痛いものと思っている人も多いようですが、実際には違います。そんなにも熱いものではありません。ただし、肌に直接モグサをのせる治療法では痕が残る場合もありますから、治療を受ける場合には気をつけましょう。
モグサは、生育したヨモギの葉の裏の柔らかい産毛の部分を使って作られています。不純物が少ないモグサが良質のものとされ、火をつけても温度が一定になるため、直接肌に乗せて点火するお灸に使われることが多いようです。間接灸(隔物灸ともいう)には肌の上にショウガやニンニク、ビワの葉などを置き、その上にモグサを乗せて点火します。また、湿らせたガーゼの上にモグサをのせて火をつける方法などもあります。